訪問診療をしていた患者さんで、亡き後、自宅を介護施設として使ってほしいと遺言をされていた方がいました。一人暮らしのため、教え子の方々が交替で介護されていました。週に2回定期的な訪問診療を行い、訪問看護師さんと教え子の方の協力で穏やかな最期を迎えられました。亡くなった後に弁護士さんに相談されましたが、生前に手続きをしていなかったため、ご本人の意思を叶える手段はなく、市に土地、家共に寄付という形になり、しばらくして更地になったとお聞きしました。どうしてこのようなことになったのか?この事例を通して、患者さんの願いを叶えるためには、弁護士さんの力を借りる必要があったと後に反省しました。在宅医療チームは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、ケアマネジャー、ヘルパーなどが代表的な職種になりますが、必要に応じて、弁護士などの存在が今後は増えてくると思われます。S-TASHIROのチーム支える輪のメンバーに弁護士さんがいます。先生の言葉で印象的だったのは「任意後見制度は元気なうちから」、「医療、福祉、介護、財産はセットで考える必要がある」ということでした。これからの社会、人生の締めくくりの備えとして、必要なことを患者と共に考えていく必要があると感じた。